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特別公開『狩りを続ける社会のデザイン』

2025.02.18-2025.03.02
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 東京大学総合研究博物館は2008年からアゼルバイジャン共和国で先史時代遺跡の発掘調査を続けている。本作品は、2019年に同国アヴェイ国定公園にあるダムジリ洞窟で出土した中石器時代の石偶である。表面は風化しているが、顕微鏡やCTスキャンで精査すると、お下げ髪や腰蓑と思われる人物表現が確認できた。性別は不明である。アゼルバイジャンなど南コーカサス地方では、約8000年前に西アジアから農業が伝わり、豊穣のシンボルたる女性土偶の製作が始まる。それらが座像であるのに対し、本作品は立像である。また、性別もはっきりしない。このような人物表現の変化と同じ現象は、農業が世界で初めて始まった西アジアにおいてもはるか前、約1万年前ごろに起こっていた。時を違えて、狩猟採集から農耕牧畜に移行する際、同じような造形変化が生じていたことは、それらの社会が異なった世界観をもったことを示している。また、護符から神像へという人物像の用途変化も示唆している。

主 催:東京大学総合研究博物館
協 力:アゼルバイジャン共和国科学アカデミー、アゼルバイジャン文化観光省、東京国立文化財研究所、株式会社丹青社

●小形人物像
中石器時代(約8500年前)/砂岩製/東京大学の調査団が発掘/アゼルバイジャン科学アカデミー所蔵

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