2011.07.22-2011.09.25
小石川分館
小石川分館の常設展示「驚異の部屋」に現代アーティストの創造力を重ね合わせることにより、アート&サイエンスの新たな展開を実験的に模索した展覧会の一つ。1970年代よりコンピュータ・グラフィックス(CG) の分野において世界的に高い評価を得、現在も旺盛な創造力で芸術家・研究者として活動を続けている、東京大学大学院情報学環教授の河口洋一郎氏をコラボレーターに迎えた。今回展示する立体造形は、河口氏が巻貝、クラゲ、魚、蝶といった海や陸の生物から発想を得て制作された独自の作品群であり、その驚異の容貌の数々は、小石川分館に新たな異形博物誌をもたらした。
ごあいさつ
東京大学総合研究博物館小石川分館では、東京大学の歴史的な学術標本による常設展示「驚異の部屋」を公開してきました。そこに現代アーティストの創造力を重ね合わせることにより、アート&サイエンスの新たな展開を実験的に模索してまいりました。
今回、その1人として東京大学大学院情報学環教授の河口洋一郎氏を迎えます。河口氏は1970 年代よりコンピュータ・グラフィックス(CG) の分野において世界的に高い評価を得、現在も旺盛な創造力で芸術家・研究者として活動を続けています。河口氏のCG 映像作品は、国際学会ACM SIGGRAPH や国際美術展ヴェネチアビエンナーレ等にて高い評価を得てきました。昨今ではCG で作ったイメージを基に、意欲的に立体造形の制作も行っています。それらを深海や宇宙へ連れて行くための動くロボットにしたいと考えているのです。
河口氏が生み出す芸術生命体の形態や色彩には「花鳥風月」と「傾奇(かぶき)」の2つの要素が含まれています。「花鳥風月」は自然現象を感じる心であり、作品には日本古来の繊細さと深海や宇宙をも対象にする奇抜さが共存しています。「傾奇」は豪華絢爛で生命力豊かな風情であり、色鮮やかな草花や熱帯の魚類などに多様なイメージの広がりを見せています。 今回展示する立体造形は、河口氏が巻貝、クラゲ、魚、蝶といった海や陸の生物から発想を得て制作された独自の作品群です。その驚異の容貌の数々は、小石川分館に新たな異形博物誌をもたらします。
河口洋一郎
1952 年鹿児島県種子島生まれ。1976 年九州芸術工科大学画像設計学科(現九州大学)卒、1978 年東京教育大学大学院(現筑波大学大学院)修了。筑波大学助教授を経て、1998 年より東京大学教授。1975 年からCG( コンピュータグラフィックス) に着手し、世界的CG アーティストとして活躍中。その作風は成長のアルゴリズムを使った「グロースモデル」という独自世界を確立し、現在では超高精細立体視映像・演者に反応するCG 舞台空間・CG 映像に凹凸反応する立体ディスプレイ・生命体から発想する深海/宇宙探査型ロボティック立体造形の創出など、多岐にわたり拡張を続けている。2010 年、ACM SIGGRAPH にてデジタルアート分野の貢献者に与えられる“Distinguished Artist Award for Lifetime Achievement in Digital Award” 受賞。
展示概要
展示名称: BIOMECANICA( ビオメカニカ)――河口洋一郎の異形博物誌
開催場所: 東京大学総合研究博物館小石川分館 (文京区白山3-7-1)
アクセス: 地下鉄丸ノ内線「茗荷谷」駅より徒歩8 分
開催期間: 2011年7月22日[金]―9月25日[日]
休館日程: 月・火・水曜日(ただし祝日の場合は開館)、8月11日[木] ―14日[日](夏季休館)
開館時間: 木・土・日曜日:10時―16時30分(入館は16 時まで)、
金曜日: 10時―19時(入館は18 時30 分まで)
入場料金: 無料
展示主催: 東京大学総合研究博物館、 東京大学大学院情報学環 河口洋一郎研究室
展示監修: 西野嘉章(東京大学総合研究博物館館長)
展示協力: 松本文夫、東京大学総合研究博物館本館/小石川分館スタッフ、小石川分館学生ボランティア
協 力: NECディスプレイソリューションズ株式会社
写真©Yoichiro Kawaguchi + UMUT
撮影:松本文夫(Fumio Matsumoto)
空間・展示デザイン©UMUT works 2011