2020.05.15-2020.06.14
DIGITAL
主催 東京大学総合研究博物館
協力 梅田英喜+マック杉崎
企画構成 東京大学総合研究博物館インターメディアテク研究部門
インターメディアテク内階段教室「ACADEMIA」にて、蓄音機音楽会を定期的に開催しております。「湯瀬哲コレクション」から1920—1940年代ジャズの名盤を厳選し、名機E.M.G.社「マークIX」をはじめとする様々な蓄音機で再生し、今やパブリックな場では鑑賞できない音の醍醐味を共有する機会を設けてきました。
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、蓄音機音楽会の収録をデジタル配信します。
チャーリー・シェイヴァース(1920-1971)は10代でプロ・デビューを果たして以来、トランペット奏者としてスウィング・ジャズにおいて独自のスタイルを築きます。トランペット奏者にとって不動のアイドルであったルイ・アームストロングと輝かしいトーンを共有しつつ、1930年代後半からジョン・カービーのバンドとともに、どの場面にも対応できる超絶技巧な演奏と創意工夫に溢れる作曲を披露し、ユニークな音を作り上げます。ここではデビューからSPレコード時代の最晩年まで、様々なバンドの録音を通して、シェイヴァースの多面的な音楽世界を幅広く紹介します。
蓄音機音楽会シリーズについて
「言葉をしまって置く機械」、「写話器機」、「蘇定機」、「蘇音器」― 音を録音し、それを無限に再生する仕組みが発明されてから、それが普及し、「蓄音機」という名称が定着するまで数十年かかりました。発明当時の人々は、音を発するこの謎の家具に関心を持ち、時には恐怖に襲われるほど当惑したといわれています。しかし、LPレコード、CD、そしてデジタルファイルの普及とともに、蓄音機は廃れ、ミュージアム等に残っているものはただの展示品となっています。本音楽会は、蓄音機を再生装置として再び活用し、機械がもつ本来の可能性を新たに味わうことを目的とします。
東京大学総合研究博物館は様々な蓄音機を所蔵しています。音楽会では、蓄音機を用いて、レコードをはじめとする様々な音楽記録媒体を再生します。その中で最も貴重な音源が、2012年に総合研究博物館に寄贈された「湯瀬哲コレクション」です。ジャズを中心としたこの個人レコードコレクションには、一万枚のSP盤が含まれています。湯瀬氏が生涯に亘って形成したコレクションを最高級の蓄音機で再生することによって、希少な名盤を紹介すると同時に、デジタル時代とともに失われた「音」の厚みと奥行きを改めて共有したいと思います。ストリーミングの時代に、インターメディアテクの階段教室に集まり、昔ながらの音楽会を体験することによって、ミュージアムを「共感覚」の場に転換する企画となるでしょう。