2019.08.10-2019.10.27
STUDIOLO
このシリーズは、日本画と、そこに描かれた鳥の標本を同時に展示し、鳥を見つめた画家の視点を提供する試みである。
日本画に描かれる鳥はさまざまな色彩を持っている。画家たちは画材と技法を駆使し、その色彩を表現しようとしてきた。浮世絵に用いられた空摺り、日本画の裏彩色などもその例である。
河辺華挙の編纂した『鳥類写生図』は粉本、すなわち鳥を描くときの手本となる図鑑あるいは紙に描いた標本であるが、ここには可能なかぎり正確に色彩を再現しようとした努力がうかがえる。羽毛そのものを貼り付けることで、粉本としての使命を全うしようとした例さえある。
また、古今東西、好事家は珍かな色彩の花や鳥を求め、品種改良を繰り返した。変わり朝顔や金魚に熱中した日本人も、例外ではない。今回、本展示では「友竹斎」の手になる『禽鳥真画』を例に、野生種の色彩をどのように表現しているか、そして「フカワリ」すなわち斑変わりと表現されている変異個体をどれほど珍重したかを、合わせて紹介する。本当に色彩変異であるか、生物学的には別種であるかが疑わしい例も含まれるが、当時の画家の目と現代の科学者の目を使い分けながらお楽しみいただきたい。
主催 東京大学総合研究博物館