2019.03.29
ACADEMIA
日時 2019年3月29日(金)18:00(終了予定時間19:00)
場所 インターメディアテク2階ACADEMIA(レクチャーシアター)
参加費 無料(事前予約不要)
席数 48席(先着順)*席に限りがありますので予めご了承ください。
主催 東京大学総合研究博物館
協力 梅田英喜+マック杉崎
企画構成 東京大学総合研究博物館インターメディアテク研究部門
インターメディアテク内階段教室「ACADEMIA」にて、蓄音機音楽会を定期的に開催しております。「湯瀬哲コレクション」から1920—1940年代ジャズの名盤を厳選し、名機E.M.G.社「マークIX」をはじめとする様々な蓄音機で再生し、今やパブリックな場では鑑賞できない音の醍醐味を共有する機会を設けます。
ジャズにおけるベースの役割は長らくリズムを刻むことに留まっていたが、スウィング溢れるメロディー中心の複雑なプレーで輝いたジミー・ブラントン(1918-1942年)が1939年頃に、ダブルベースをソロ楽器としてジャズに定着させたことは有名な話です。ところがこの定説が十分な歴史的検証に支えられていないことが、SPレコードの注意深い鑑賞から分かります。ジャズがレコードに吹き込まれる1910年代以前から、ニューオリンズではヘンリー・キンボール(1878-1931年)をはじめ独創的なベーシストが多く活躍していました。ここでは、ブラントンが伝説的なソロを吹き込んだ1940年以前に録音された、ソロ楽器としてのベースの前史を辿ります。
蓄音機音楽会シリーズについて
「言葉をしまって置く機械」、「写話器機」、「蘇定機」、「蘇音器」― 音を録音し、それを無限に再生する仕組みが発明されてから、それが普及し、「蓄音機」という名称が定着するまで数十年かかりました。発明当時の人々は、音を発するこの謎の家具に関心を持ち、時には恐怖に襲われるほど当惑したといわれています。しかし、LPレコード、CD、そしてデジタルファイルの普及とともに、蓄音機は廃れ、ミュージアム等に残っているものはただの展示品となっています。本音楽会は、蓄音機を再生装置として再び活用し、機械がもつ本来の可能性を新たに味わうことを目的とします。
東京大学総合研究博物館は様々な蓄音機を所蔵しています。音楽会では、蓄音機を用いて、レコードをはじめとする様々な音楽記録媒体を再生します。その中で最も貴重な音源が、2012年に総合研究博物館に寄贈された「湯瀬哲コレクション」です。ジャズを中心としたこの個人レコードコレクションには、一万枚のSP盤が含まれています。湯瀬氏が生涯に亘って形成したコレクションを最高級の蓄音機で再生することによって、希少な名盤を紹介すると同時に、デジタル時代とともに失われた「音」の厚みと奥行きを改めて共有したいと思います。アイポッドの時代に、インターメディアテクの階段教室に集まり、昔ながらの音楽会を体験することによって、ミュージアムを「共感覚」の場に転換する企画となるでしょう。