2018.04.24-2018.08.26
GREY CUBE, FIRST SIGHT
連続展覧会企画「インターメディアテク博物誌シリーズ」の第二弾として、東京大学総合研究博物館とウプサラ大学との国際学術協働により、スウェーデンの偉大な自然史学者、オロフ・ルドベック、カール・フォン・リンネ、カール・ペーター・ツュンベルクゆかりの物品を展示いたします。日本・スウェーデン外交関係樹立150周年を記念し、18世紀北欧に花開き、現在に受け継がれた博物誌の世界と日本との繋がりをご覧ください。
主催 東京大学総合研究博物館+ウプサラ大学博物館「グスタヴィアヌム」
協力 ウプサラ大学図書館+ウプサラ大学進化博物館+スウェーデンリンネ協会・リンネ博物館+スウェーデン国立世界文化博物館・民族学博物館+東京大学大学院理学系研究科附属植物園
後援 スウェーデン外務省
協賛 モルタ=クリスティナ マグヌス・ヴァールクイスト財団+スカンジナビア・ニッポン ササカワ財団+在日スウェーデン大使館+グリマルディインダストリ株式会社+グスタフ六世アドルフ国王スウェーデン文化財団+ラングマン文化財団
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北ヨーロッパ最古の大学として知られるウプサラ大学は、17世紀から18世紀にかけて自然史学の最前線にありました。その隆盛の基礎を築いたのは、オランダで解剖学を学んだオロフ・ルドベック(父)です。ルドベックは、同時代の科学者の例に漏れず、医学のみならず、天文、植物、芸術など、多くの学問分野で能力を発揮したばかりか、ウプサラ大学の教授として、また一時期は副学長として、植物園や解剖劇場の創設を指揮し、社会に開かれた学術環境の整備に努めました。ルドベック(父)には同じく自然史学者となる同名の息子がおり、父子二人で整えた苗床からカール・フォン・リンネという傑出した人材が誕生します。自然史学者リンネは森羅万象を鉱物、植物、動物の三界から成るとする古代ギリシャ以来の自然観に、「種」の概念を持ち込むことで、自然界を一定の秩序に基づくものとして体系的に記述する方法を編み出しました。リンネは、自らの考える「自然の体系(システマ・ナチュラエ)」を、あるいは大学の教壇に立って、あるいは自宅の食堂の大テーブルを前に、多くの門人たちへ伝えました。カール・ペーテル・ツュンベルクもそのなかの一人で、1775年にオランダ商館付き医師として来日し、江戸の日本へ西洋の知識をもたらすとともに、大量の自然史標本を採集し、本国へ持ち帰り、『フローラ・ヤポニカ(日本植物誌)』を日本滞在の成果として著すことになります。ウプサラ大学博物館「グスタヴィアヌム」と大学図書館には、これら三人の自然史学者の遺産が理想的な環境の下で保存されています。これまで将来されたことのない貴重史料を紹介できますことは、われわれの喜びとするところです。
西野嘉章
インターメディアテク館長