JPタワー学術文化総合ミュージアム インターメディアテク

蓄音機音楽会『ジャズ大集成(サミット)(40)――ハバネラの底流』

2017.06.30
ACADEMIA

日時 2017年6月30日(金)18:00(終了予定時間19:00)
場所 インターメディアテク2階ACADEMIA(レクチャーシアター)
参加費 無料(事前予約不要)
席数 48席(先着順)*席に限りがありますので予めご了承ください。
主催 東京大学総合研究博物館
協力 梅田英喜+マック杉崎
企画構成 東京大学総合研究博物館インターメディアテク研究部門


 インターメディアテク内階段教室「ACADEMIA」にて、蓄音機音楽会を定期的に開催しております。「湯瀬哲コレクション」から1920—1940年代ジャズの名盤を厳選し、銘機ヴィクトローラ社クレデンザで再生し、今やパブリックな場では鑑賞できない音の醍醐味を共有する機会を設けます。
 19世紀初頭にヨーロッパからキューバに渡った舞曲「コントルダンス」が現地で定着し、「ハバネラ」として欧米に再輸出され、旋風を巻き起こします。初期ジャズの底流には、そのリズムパターンがあります。ジェリー・ロール・モートンはハバネラのリズムを「スペインの風味」と名付け、ジャズにおける不可欠な表現として位置づけています。異国趣味溢れる1930年代スウィング・ジャズがラテン風のテーマを取り入れると、キューバ出身の演奏家がジャズマンと共演しはじめ、1940年代半ばには独自のリズム感とビバップの表現を融合します。ここでは、ハバネラ旋風からアフロ・キューバン・ジャズの誕生まで、キューバとジャズを巡る錯綜した関係を明らかにします。


【蓄音機音楽会シリーズについて】

 「言葉をしまって置く機械」、「写話器機」、「蘇定機」、「蘇音器」― 音を録音し、それを無限に再生する仕組みが発明されてから、それが普及し、「蓄音機」という名称が定着するまで数十年かかりました。発明当時の人々は、音を発するこの謎の家具に関心を持ち、時には恐怖に襲われるほど当惑したといわれています。しかし、LPレコード、CD、そしてデジタルファイルの普及とともに、蓄音機は廃れ、ミュージアム等に残っているものはただの展示品となっています。本音楽会は、蓄音機を再生装置として再び活用し、機械がもつ本来の可能性を新たに味わうことを目的とします。
 東京大学総合研究博物館は二台の蓄音機を所蔵しています。ひとつは、1925-1928年に作られた銘機、ヴィクトローラ社のカナダ製クレデンザ「VV8-30」です。もう一つは、クレデンザをもとに、昭和初期の楽器設計者、平林勇(1904-1938年)が1931-1932年頃に製作した、独自の音声増幅システムを含む蓄音機です。
 音楽会では、これら二台の蓄音機を用いて、レコードをはじめとする様々な音楽記録媒体を再生します。その中で最も貴重な音源が、2012年に総合研究博物館に寄贈された「湯瀬哲コレクション」です。ジャズを中心とした1万枚を超えるこの個人レコードコレクションには、多くのSP盤が含まれています。湯瀬氏が生涯に亘って形成したコレクションを蓄音機最高級のヴィクトローラ製クレデンザで再生することによって、希少な名盤を紹介すると同時に、デジタル時代とともに失われた「音」の厚みと奥行きを改めて共有したいと思います。アイポッドの時代に、インターメディアテクの階段教室に集まり、昔ながらの音楽会を体験することによって、ミュージアムを「共感覚」の場に転換する企画となるでしょう。

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