2016.07.14
ACADEMIA
「展示を企画すること、哲学論文を書くこと、民族学方法論に基づいてフィールドワークを行うこと、戯曲を書くことは本質的に同じことである」。フランス現代思想を代表するブルーノ・ラトゥール(1947年生まれ)は、異なる分野の方法論を束ね、科学・技術・社会・政治を構成する制度の基礎を再考し続けてきました。IT技術の普及、急速なグローバル化や激しい気象変動に象徴されるように、現代とは抽象的な現象が交錯する時代と言えるでしょう。これらの現象がわれわれの生活に急速な変化をもたらしているのに対し、社会を支える思想的パラダイムがもはやこの実態と齟齬をきたしている点が、ラトゥールの思索における主要な問題関心の一つとなっています。ラトゥールは多岐に亘る思想的活動を通して、その近代的パラダイムの「軌道修正」を試みてきました。
その知的改革を具体的に支えるのが、ラトゥール自身が企画した一連の展示です。科学、宗教とアートにおける表象を再考した『イコノクラッシュ』展(2002年)を皮切りに、アートとサイエンスによる「政治」の革新を問う『モノを公にする』展(2005年)、そして近代性の思想的枠組みを捉える『グローバル―近代性をリセットする!』展(2016年)がドイツのカールスルーエ・アート・メディア・センター(ZKM)において開催されました。この斬新な企画は、「展示」という場における「思考実験」を来場者に提供することで、現代社会に生み出される新しい「立場」の可能性を体験できる試みとして高く評価されています。
本ディスカッション・イベントでは、ラトゥール氏をインターメディアテクに迎え、氏による展示活動を通して、博物館におけるアートとサイエンスの関係性を一つのモデルとして捉え、現代社会の基礎を成す「近代性」の制度と論理的枠組みを再考します。
日時 2016年7月14日(木)15:00-17:30(開場14:30)
会場 インターメディアテク2階「ACADEMIA(レクチャーシアター)」
<ディスカッサント>
ブルーノ・ラトゥール(パリ政治学院教授・メディアラブ所長)×西野嘉章(東京大学総合研究博物館長)
使用言語 フランス語(通訳付き)
参加費 無料
定員 48名(先着順)※ 席に限りがありますので予めご了承ください。
主催 東京大学総合研究博物館
協力 アンスティチュ・フランセ東京