2016.03.08-2016.05.08
PANTHEON
東京大学宇宙線研究所長・教授の梶田隆章先生が、「ニュートリノが質量をもつことを示すニュートリノ振動の発見」により、2015年のノーベル物理学賞を受賞しました。ニュートリノは物質を構成する最小単位である素粒子の一つです。梶田先生は、2002年のノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊先生のもとでニュートリノの研究を行いました。地下の巨大観測施設カミオカンデおよびスーパーカミオカンデにおける観測を通して、それまで質量ゼロとされてきたニュートリノに質量があることを世界で初めて証明しました。これは物質の根源と宇宙の進化の解明につながる歴史的な大発見といえます。小柴先生に続く梶田先生らによるカミオカンデ・シリーズの実験プロジェクトは、東京大学による先端的な学術研究の成果です。ここにノーベル賞のメダル(公式レプリカ)や研究成果の一部を展示し、梶田先生の功績をご紹介します。
梶田隆章先生プロフィール
梶田隆章(かじたたかあき):東京大学宇宙線研究所長・教授。埼玉県東松山市の出身。埼玉県立川越高校から埼玉大学理学部に進み、物理学を専攻しました。大学卒業後の1981年に東京大学大学院理学系研究科に進学し、小柴昌俊先生(2002年ノーベル物理学賞)の研究室に所属します。1986年に学位論文「Search for nucleon decays into anti-neutrino plus mesons(反ニュートリノと中間子への核子崩壊の探索)」で博士号を取得。小柴研究室の先輩であった戸塚洋二先生(故人)らとともに宇宙線研究に従事します。1988年にカミオカンデにおける大気ニュートリノの観測からニュートリノ振動を推測し、続くスーパーカミオカンデによる精密測定からニュートリノ振動を確認します。すなわち、ニュートリノに質量があることを発見し、これを1998年の国際会議で発表しました。2015年、アーサー・B・マクドナルド氏とともにノーベル物理学賞を受賞。受賞理由は「ニュートリノが質量をもつことを示すニュートリノ振動の発見」です。同年、文化勲章を受章。
主 催:東京大学総合研究博物館
共 催:東京大学宇宙線研究所
画 像:© 東京大学宇宙線研究所