2024.10.26-2025.01.19
GREY CUBE
展示更新のお知らせ
本展は、立木義浩氏とインターメディアテクの実験展示として、全点モノクロ写真への展示更新を行うことになりました。
モノクロ写真ならではの詩的な表現技法は、カラー写真とはまた違った表情を感じとる貴重な機会になります。
この機会に、一度ご覧いただいた方にも改めて観ていただければ幸いです。
期間:2025.1.4sat−1.19sun
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写真家である立木義浩は、1965年に『舌出し天使』でデビューして以来、60年にわたり第一線で活躍してきた。 美しい女優たちを収めた数々の作品を発表する一方で、著名人の家族、震災被災地のひとびと、国宝東寺など、特定のジャンルにとどまることなく、感度高く、時代を写し取ってきた。
そんな彼が以前から好奇心を持ってきた場所のひとつが「博物館」である。20代で撮影した『舌出し天使』のロケ地も上野の博物館であり、86歳になって撮影意欲を掻きたてられたものも、また、学術標本と歴史的な什器が並ぶ空間『東京大学総合研究博物館』であった。 そして今回、東京大学総合研究博物館に蒐集された学術標本群を撮影することとなった。
タイトルは〈in Vitro? in Vivo!〉。 in Vitroは「試験管内」、in Vivoは「生体内」を意味し、生理学において人工的環境下でおこなわれる反応系と、実際の生体内で起こる反応系をさす。 博物館に蒐集された標本群は封じこめられたモノである一方、博物館に展示され、ファインダーを通して切り取られることで、ふたたび生きた存在へと戻っていく。 このタイトルは、観客に対して、学術標本が単なる研究対象を超えて、どのように芸術として再解釈されるかを考える機会を提供するものである。
立木義浩の写真のなかでは、体温を持たないはずの被写体が、そこでしか見せない表情を醸し出しているように見える。 生と死、学術と芸術、自然と人為、分類と混在といった博物的で哲学的な対比を捉えつつも、彼自身が「still alive」と表現するように、学術標本でさえ私情の「モノがたり」を写しだすだろう。
主 催: 東京大学総合研究博物館
協 賛: 学校法人高宮学園代々木ゼミナール、株式会社ブラスト
協 力: キヤノンマーケティングジャパン株式会社、アチーブメント株式会社、立木義浩事務所
企 画: 東京大学総合研究博物館インターメディアテク研究部門、心に響く会社合同会社