2017.12.12-2018.04.08
GREY CUBE
エチオピアで産出された世界最古の石器の貴重な日本公開の機会として、インターメディアテクでは人類の初源期の石器におけるデザイン性及びその進化をテーマにした特別展示を開催いたします。なお、東京大学総合研究博物館本館(本郷)ではホモ属の進化と石器テクノロジーの変遷に注目した特別展示を1月28日まで公開しております。
主催 東京大学総合研究博物館
展示協力 エチオピア文化観光省文化遺産調査保全庁、ゴナ古人類調査隊、コンソ古人類調査隊、ミドルアワッシュ調査隊
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アフリカ、とりわけエチオピアは、人類の起源期から進化の各段階の、世界を代表する化石記録を産出している。最古の確固たる打製石器、最古の「デザイン」された石器もまたエチオピアから知られている。その代表的な石器が「ハンドアックス」であり、「握斧」と訳される。手に持って使われ、「斧」的な形状をしていることからそう呼称されている。本展示では、東京大学総合研究博物館とエチオピア国立博物館の協力関係のもと、最古の石器、最古の「デザイン」された石器など、世界水準の文化遺産の原研究標本を一時借用して展示している。この稀な機会を実現するためにご支援、ご助力くださった多くの方々に深く感謝申し上げる。本展示から、太古の祖先たちの足跡と営みを感じ取り、全人類が共通に持つ過去と未来を再認識できれば幸いである。また、アフリカからは遠い日本において、エチオピアの文化遺産資源のすばらしさに触れていただければ幸いである。
本郷の本館では、並行して(1月28日まで)、より詳細に石器テクノロジーの変遷を展示している。また、ホモ属各種の頭骨化石(レプリカ)を用いた空中配置の系統樹展示を行っている。合わせてご鑑賞いただきたく、ご案内申し上げる。
諏訪 元
東京大学総合研究博物館館長
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石器はヒトが手にした最初の道具の一つである。身の回りに見出される石を道具に使う。ただそれだけなら、ヒト以外の動物でもやってはいる。しかし、石に加工を施した方が使い勝手が良い。そのことに気づいたのはヒトが最初である。その証拠がエチオピアの大地で見つかった。二百六十万年前という気の遠くなるような昔のモノである。加工石は保持していれば、再利用もできる。そのことがわかり始め、かたちの美しさにも心を砕くようになった。今から百七十五万年前、これが「デザイン」の起こりである。握斧の獲得は、動物種としての「ヒト」が文化的存在としての「人」へ転じた瞬間でもあった。以来、人類は左右相称型の石の道具を、百七十万年近くのあいだ使い続けることになった。現代の人工物でかくも長い寿命を望めるものが何かあろうか。そう考えると握斧の存在は不可思議と言わざるを得ない。本特別展示の眼目は、エチオピアで発見された世界最古級の石器から、「出アフリカ」を成し遂げたホモ・サピエンスの握斧まで、代表的な石器類型の通覧を介して、初期人類における道具進化史について再考を促すことにある。本郷キャンパスでも「石器展」が同時開催されている。本館での展示がサイエンスの王道をゆく学術展示とするなら、本会場は石器のデザイン性に思いを巡らす場となるよう設えられている。道具には使う人の身体感覚が反映される。石器遺産を先史人類学とデザイン美学の両面から見て頂ければ幸いである。
西野嘉章
インターメディアテク館長
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【関連イベント】
連続講演会『デザインの始まり――最古石器から握斧(ハンドアックス)へ
【関連展示】
東京大学創設140周年記念国際共同特別展示『最古の石器とハンドアックス――デザインの始まり』
2017.10.20-2018.01.28
東京大学総合研究博物館(本郷キャンパス内)→アクセス