2017.01.24-2017.03.26
HOMAGE
インターメディアテクの館内には、かつて東京大学で使用された戦前の什器をリデザインし活用しているものが多くある。多様な什器の中でも、1916(大正5)年に建設された赤門倉庫(書庫)内から移設した鉄製のキャビネットは、最も古い什器の一つである。貴重な資料を保存する目的から、非常に重厚な構造で作られており、現代に伝えられた重要な学術遺産とも言える。
この度、インターメディアテクでは、この歴史的な什器と現代美術を組み合わせた実験展示「パースペクティヴ」を企画し、現代美術と学術の相互作用を目論む。キャビネットが制作された 百年前の時代背景は、ヨーロッパの前衛芸術が最も盛り上がりを見せた時期と重なる。本展は、前衛芸術から影響を受けた現代美術作家の作品が、歴史性をもつ什器に格納されつつ、等間隔に展開されることで、作品の輪郭を一層引き立たせ、現代美術における共時性を提示する試みである。現代美術における共時的な地形を提示することにより、今後の美術に対する展望(パースペクティヴ)へと繋がる可能性も併せもつ。
展示期間中には、出品作家と東京大学総合研究博物館と関係する研究者によるディスカッション・イベントも予定している。近現代美術が空間、素材、場、概念など様々な対象と作品の関係性を追求してきたように、作品制作と学術研究のアプローチについて、着想から考察までを比較検証し、新たな関係性と可能性を模索する。
出品作家 今井紫緒/今井俊介/今津景/菊池敏正/高木大地/冨井大裕/藤原彩人
主催 東京大学総合研究博物館インターメディアテク研究部門