JPタワー学術文化総合ミュージアム インターメディアテク
HAGAKI
研究者コラム

インターメディアデザイン その九
Intermedia Design 9

 その八につづき、特別展示「PHOTO LOGIC(フォトロジック)- 田中良知×IMT」について。メインの会場(GREY CUBE)で被写体となっているのは、東大総長をはじめ、東大教授、研究者、人間国宝の職人、学生、子ども、現役のチンドン屋までさまざま。本展に向けた撮り下ろし写真である。カメラを向けられることに小慣れた者などそうはいない。どのような肩書きであれ、年齢であれ、職業的モデルでない人物の「肖像」が、いかに特別な作品になり得るかという、その写真芸術としての純粋性を垣間見る機会となった。来館者による「写っている人が生き生きとしていて明るい気持ちになれた」という感想は、職業的モデルの領域にいない人物への親近感であり、楽しい、おもしろいという多勢の言葉を的確に表現したものかと思う。それが今般の時代性の裏返しだとしても、今にして思えばこのような写真展を見たことがない。隣接するサブ会場(BIS)にあるのは、撮影イベントに参加した子供たちやその親御さん。その写真から感じる印象は、メイン会場のそれをさらに上回る。「昨日の自分が作品としてそこにいる」、参加型展示の一例ではあるが、生きた展示とはこういうものかというひとつのあり様を見た思いがする。それに触発されてか「100人ポスター」の制作に取りかかることになった。

関岡裕之(東京大学総合研究博物館特任准教授)
Hiroyuki Sekioka

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