JPタワー学術文化総合ミュージアム インターメディアテク
HAGAKI
研究者コラム

数理模型
Mathematical Model

 インターメディアテク3階に展示中の様々な数理模型は、19世紀末に制作されたものを基に複製した標本である。複製にはシリコンによる雌型を準備し、オリジナルと同じ材料である石膏を使用して制作している。現代ではこのような複製方法が可能である一方、19世紀末、最初に作られた原型ともなる数理模型の制作方法については、不明な部分もある。原型の制作には、石膏か粘土を使用し、数ミリ単位で積層を繰り返し、丁寧に形状を削り出したのではないかと推測できる。しかしながら、実際にはそう順調に出来上がるものでもないだろう。現在、インターメディアテク2FにF R Pで制作した大型の数理模型を展示中である。原型の数理模型とは全く異なるサイズではあるが、積層の方法を使用して形状の削り出しを試みた。10cm毎に模型の輪郭線を出力し、その形を重ねつつ、階段状になった部分を徐々に整えていく。シンプルな方法ではあるが調整は難しい。当時の制作技法が明確に判別出来ない中で、試行錯誤を繰り返し、現代の技術とも摺り合わせつつ、制作に取り組んでいく事は、新たな発見もあり興味深い経験でもあった。

菊池敏正(東京大学総合研究博物館特任助教)
Toshimasa Kikuchi

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