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HAGAKI
研究者コラム

展示公開中・担当者呻吟中

 Aves Japonicae7は無事に始まった。だが「田雲雀の一 又ヒンスイ」とされた絵が気になる。種名はヒンスイ、すなわちビンズイだ。絵には「だいたいタヒバリと一緒だ」と書かれている。雑な言いようだが、気持ちはわかる。この2種はよく似ている。だが、「腹ニフナシ」つまり「腹に斑がない」ともある。それはおかしい。ビンズイなら胸から脇腹にかけてはっきりした縦斑がある。絵の鳥は背中から雨覆羽にかけて褐色で、黒い羽縁がある。腹は汚白色なのだろう、薄墨で表現されている。ビンズイにしては短い尾羽には黒斑があり、縞模様に見える。今更ながら気づいたが、これはセッカなのでは? 図鑑も、基準となる標本もない時代には、文献にある名や聞き知った名を自分の見た鳥に当てはめる、という作業をしていたはずだ。そのどこかで混乱があったのか? これはキャプションに記すべきだったか、確証もなしに書くべきではないか…… 展示が始まっても悩みは続くのである。

松原始(東京大学総合研究博物館特任准教授)
Hajime Matsubara

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