ジャズにおいて楽器に初めて電気を通したのは、エレクトリック・ギタリストだと言われている。フロイド・スミス(1917-1982年)、レナード・ウェア(1909-1974年)やエディー・ダーハム(1906-1987年)をはじめ、1930年代後半からスウィング・オーケストラ内にアンプ付きのギターが加わり、いずれその地位が確立されていった。ギターはのちにロックやポップスの中心的な存在を担うことになる。しかしエレクトリック・ギターをソロ楽器として定着させたのはやはり、チャーリー・クリスチャン(1916-1942年)によるメロディーが際立った演奏である。あらゆる才能を自身のバンドに吸収しようとしたクラリネット奏者のベニー・グッドマンは、クリスチャンのギターをライオネル・ハンプトンのヴァイブラフォンと組み合わせ、新たな音を生み出すことに成功した。なかでも、セクステットによる「スターダスト」を聴いていただきたい。
大澤啓(東京大学総合研究博物館特任研究員)