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HAGAKI
研究者コラム

外出自粛中のカラス

 春から夏は鳥類の野外調査のハイシーズンだ。だが、外出自粛に伴い、今年の調査は全てキャンセルになった。その代わりと言ってはなんだが、人間の活動の変化がカラスに影響を及ぼしているかどうかを都内で調査している。その一環として自宅の近所で定期的にセンサスを行なっているが、意外にゴミは荒らされていない。だが、一箇所、毎回ひどく散らかされている場所がある。おそらくカラスの「いつもの餌場」になっているのだろう。面白いのはカラスがゴミ袋を破って中身を引きずり出した後、ハトやスズメ、ムクドリまでもが細かい残滓を食べに来ていることである。餌を食べているライオンの後ろにハイエナが、その後ろにリカオン、ハゲワシなどが控えているのと同じく、ゴミ漁りにも順序があるのだ。先日はゴミ袋の中から缶チューハイの空き缶を引っぱり出したカラスがいた。撮影した写真を見ると、まるでカラスが酒を飲んでいるようにも見えて面白かった。

松原始(東京大学総合研究博物館特任准教授)

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