JPタワー学術文化総合ミュージアム インターメディアテク
HAGAKI
研究者コラム

インターメディアデザイン その六

 現代において「白」という色は、プロダクトやファッション、建築に至るまで、モダニズムの象徴として、もはや崇拝に値する色であり、かつ認識以前の存在としてあらゆる場面に登場する。それは善意や純粋の意に留まらず、斬新さや無機質感、清潔感といった現代社会において必要とされる要素を、人間の根幹的な感性であるかのように意識付けられてきたからだ。ミュージアムという公共空間に目を向けてみれば、モダニズム建築が台頭した20世紀初頭から内部空間はホワイトキューブが主流となった。つまり斬新、無機質といった要素が、あらゆる様態の美術に対するニュートラルな対比として定着したためだ。インターメディアテクを設計するにあたり、まずその既成概念からの解放を図った。もうひとつ、ホワイトキューブに白い什器といったいわゆる美術館スタイルでは展示物の数量に関わらず希薄感は免れない。そこで白という色をアクセントとして、つまり反転してみせることで、白への再確認を試みた。

関岡裕之(東京大学総合研究博物館特任准教授)

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