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HAGAKI
研究者コラム

ガラスでできた学術模型

 特別展示『十九世紀ミラビリア博物誌−−ミスター・ラウドンの蒐集室より』では教育資料を展示しているが、その中に、ボヘミア出身のレオポルド・ブラシュカ(1822-1895)とルドルフ・ブラシュカ(1857-1939)親子が製作した模型が数点ある。これらは基本的にガラス製であるが、実物に近づけるため、ガラスの特徴を時には消し、時には活かしながら作られている。例えば、この「カンザシゴカイの一種」を見てみよう。うねるような棲管は、まるで粘土か何かで作ったような外見をしている。一部が壊れて半透明のガラスがのぞいているため、ガラスに分厚く彩色したことが推測出来るものの、初見でこれをガラスと見破るのは困難であろう。一方、アサガオの蕾のように見える殻蓋は、赤味がかった色ガラスと白味がかった色ガラスを用いて造形したものと思われる。ブラシュカ一族の起源がヴェネチアにあることを考えると、ヴェネチアのワイングラスに似ているような気もしてくるのである。

秋篠宮眞子(東京大学総合研究博物館特任研究員)

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