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HAGAKI
研究者コラム

展示空間としての図録

 特別展示『石の想像界』の図録は、展示の延長線上に考えられた。石の外皮のように、図録の外装はグレーでザラザラしている。表の写真は石器、裏の写真は結晶模型。この対比が、銀色の縦型の帯に印字されている展示のタイトルを示唆する。帯を外し、本を開くと、貴石の内側のように輝かしい、青い内表紙が見える。ポートフォリオのようにページは全て未綴じで、不用意に開くとバラバラになる。斜め読みするのに決して便利ではない。本文が銀の冊子に纏められ、図版ページはポスター仕様の白い紙に印刷されていて、折られた状態で六枚収まっている。個々のポスターを広げると、テーマ別に分類されている図版が自由に配置されており、綴じられた本のページに連続的に掲載される図版とは異なる、より複雑な関係性を持っている。この特殊な仕様によって、展示の空間的体験を紙上に再解釈してみせた。展示空間を自由に歩き回るように、読書体験は直線的な展開から解放される。

大澤啓(東京大学総合研究博物館特任研究員)

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