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HAGAKI
研究者コラム

用途不明の機能美

 バナーストーンは、縦長の穴の空いた、左右対称の磨製石のアーティファクトであり、北米に出土する。北米考古学において、平たいベースに斜めの穿孔が二つ開けられ、抽象化された鳥や動物を表すバードストーンとともに用途が究明されていない「問題の形」である。祭儀物として埋葬され、時には装飾品として使用されていたというのが定説である。1939年に発行された先駆的な研究書で、バイロン・ノックブロックはバナーストーンを8つの原型に属する32のタイプに分類した。展示中のバナーストンには、砂時計型、三日月型、鞍型、蝶型がある。完成度の高い磨き、ビュアな輪郭、そして石の豊かな模様。完全なる造形美を持ち合わせたこのアーティファクトは、用途が不明であるがゆえに、抽象的彫刻の原型にも見える。

大澤啓(東京大学総合研究博物館特任研究員)

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