JPタワー学術文化総合ミュージアム インターメディアテク
HAGAKI
研究者コラム

インターメディアデザイン その三

 同じことを言っているようにも思うが、あえて言い換えるなら、大方の博物館はすでに体系化されたモノを「見る・知る・学ぶ」をテーマに視覚的に再構築されたもので、社会あるいは来館者にとっての知的好奇心を、もっとも正当な方法論で応える場となっている。それは人間社会における「秩序」でありながらも、人間であるからこそ避けられない結論でもあろう。しかし、その秩序のなかでは「発見」は難しい。なにも専門家に向けたアンチテーゼではなく、一度シャッフルしたなかでこそ垣間見える新しい価値や創造性は、インターメディアテクが多くの人々に刺激を与える所以ともなっている。「見たことがあるようで見たことがない」そのことが人々を感慨に導く重要な要因であり、それは、唯一無二というよりも現代版温故知新というべきかもしれない。

関岡裕之(東京大学総合研究博物館特任准教授)

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