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HAGAKI
研究者コラム

鳥類繁殖調査

 東京都鳥類繁殖調査に参加して、丸の内界隈の鳥類の様子を調査して来た。皇居ならいざ知らず、東京駅前や銀座に鳥なんかいるのか、と思われるかもしれない。だが、鳥はどこにでもいる。確かに多くはないが、都市とは、人間が勝手に考えているほど不毛な場所ではない。大手町オアゾから新丸ビルに向けて歩き、内幸通に入ったところで、スズメを見つけた。人間が歩いているすぐそばまで来て、しきりに鳴いている。口には何かをくわえている。そして、すぐ近くで「シリリ、シリリ」という声が聞こえる。この騒がしいのは、スズメのヒナだ。どこかにスズメが巣を作っていて、親鳥が餌を持って来ている。邪魔しないよう少し離れて見ていると、スズメはイチョウの枝の折れ口に開いた洞に潜り込み、また出て来た。ここがスズメの巣だ。この日、大手町から銀座まで約2キロを歩いて見た鳥は11種、84羽だった。

松原始(東京大学総合研究博物館特任准教授)

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