この度、JPタワー学術文化総合ミュージアム「インターメディアテク」では、特別展示『アヴェス・ヤポニカエ(4)――ディテールへの執念』を開催する運びとなりました。
本展示は河辺華挙が明治時代に描いた日本画を題材に、日本画家が鳥を見つめた視線を再現するものです。
日本画に描かれる鳥といえば、例えば「松に鶴」「月に雁」のような、半ば模式化された図像の印象が強いかもしれません。しかし、画家たちは空想上のテンプレートを描くことに執心していたのではありません。この巻物は粉本、すなわち、リアルな鳥を描くための精密資料であり、いわばそれ自体が研究標本と言えます。実物を前に丹念に観察し写生し、それが叶わなければ手本を写すことで、より写実的であろうとした絵師の姿がここにあります。生体の姿を再現するためのポーズ集までも描かれた粉本はまさに、現代のアニメーションにおける設定資料集と同じ役割、同じ内容を持っているのです。
今回の展示では、カモ類とカイツブリを題材に、執拗にその特徴を、模様を、羽毛の枚数を、足の構造を、描き記そうとした芸術家の執念に迫ります。その、細部を決しておろそかにしない目は、科学者の観察眼に通じるものがあります。画家が抱いた細部への執念と情熱に敬意を表しつつ、本展示ではこの「記載」を読み解いてみることにします。
■展覧会基本情報
名 称:特別展示『アヴェス・ヤポニカエ(4)――ディテールへの執念』
会 期:2018年4月24日から6月23日まで
時 間:11:00 - 18:00(金・土は20:00まで開館、入館は閉館時間の30分前まで)*時間は変更する場合があります
休館日:月曜日(月曜日祝日の場合は翌日休館)、年末年始、その他館が定める日
会 場:インターメディアテク3階収蔵展示室「STUDIOLO(ストレージ)」
主 催:東京大学総合研究博物館
入館料:無料
住 所:東京都千代田区丸の内2-7-2 KITTE2・3F
アクセス:JR東京駅丸の内南口から徒歩約1分、東京メトロ丸ノ内線東京駅地下道より直結
■お問い合わせ先
03-5777-8600(ハローダイヤル)