この度、JPタワー学術文化総合ミュージアム「インターメディアテク」では、特別展示『アヴェス・ヤポニカエ2――紙に描いた標本』を開催する運びとなりました。
本展示は河辺華挙が明治時代に描いた日本画を題材に、日本画家が鳥を見つめた視線を再現するものです。
日本画に描かれる鳥といえば、例えば「松に鶴」「月に雁」のような、半ば模式化された図像の印象が強いかもしれません。しかし、画家たちは空想上のテンプレートを描くことに執心していたのではありません。この巻物は粉本、すなわち、リアルな鳥を描くための精密資料であり、いわばそれ自体が研究標本と言えます。実物を前に丹念に観察し写生し、それが叶わなければ手本を写すことで、より写実的であろうとした絵師の姿がここにあります。生体の姿を再現するためのポーズ集までも描かれた粉本はまさに、現代のアニメーションにおける設定資料集と同じ役割、同じ内容を持っているのです。
今回の展示では、キジとオシドリを中心に据えました。キジの複雑な模様や、オシドリの羽毛の重なりを捉えることは決して容易ではありませんが、この正確な描画と観察眼は、科学者による冷徹で精密な目と何ら変わるところがないと言えましょう。彼らは観察者、あるいは博物画家たり得る資質を十分に持っていたのです。
■展覧会基本情報
名 称:『アヴェス・ヤポニカエ2――紙に描いた標本』
会 期:2015年5月26日から2015年8月30日
時 間:11:00 - 18:00(木・金は20:00まで開館、入館は閉館時間の30分前まで)*時間は変更する場合があります
休館日:月曜日(月曜日祝日の場合は翌日休館)、年末年始、その他館が定める日
会 場:インターメディアテク3階収蔵展示室「STUDIOLO(ストレージ)」
主 催:東京大学総合研究博物館
入館料:無料
住 所:東京都千代田区丸の内2-7-2 JPタワー/KITTE2・3F
アクセス:JR東京駅丸の内南口から徒歩約1分、東京メトロ丸ノ内線東京駅地下道より直結
■お問い合わせ先
03-5777-8600(ハローダイヤル)