インターメディアテクでは、COLONNADE3(ギャラリー3)にて開催中の常設展示『Made in UMUT—東京大学コレクション』の一部を更新し、新規収蔵の阿部正直コレクションの一部を公開いたします。
阿部正直(1891-1966)氏は、元福山藩主阿部家の第11代目当主で、明治24(1891)年東京に生まれました。8歳のとき父正桓に連れられ、日本に初めて輸入された活動写真を見て以来、映画に傾倒していきます。大正11(1922)年東京帝国大学理学部実験物理学科卒業後、昭和2(1927)年静岡県御殿場市に私立観測所「阿部雲気流研究所」を設立しました。映画と写真の技法を駆使するという独創的な研究法により、富士山上空の雲の観測を長年にわたり行いました。富士山特有の雲の分類や気流の解明など、戦前の日本気象学に多大なる功績を残しました。また、撮影機や観測装置を自作したり、考案したりするなど、稀代の発明家でもありました。
このたび当館に新たに収蔵された阿部コレクションは、阿部正直氏が所持していた撮影や観測機器類、雲や山を記録撮影したフィルムや写真、観測記録や研究ノートといった歴史資料から成ります。
本展示では撮影機器に注目し、昭和初期の欧米製家庭用映写機、和製映写機など近代日本映画史上における貴重なコレクションを公開いたします。キネマ誕生期の名機をご覧ください。