JPタワー学術文化総合ミュージアム インターメディアテク

アカデミック・アドベンチャー 2023

2023.04.01-2024.03.31

小・中学生の皆さまへ


 アカデミック・アドベンチャーでは、IMTボランティアの大学生が「インターメディエイト」(=媒介者)として、皆さんのアドベンチャーの案内役を務めます。IMTボランティアは、東京近郊のさまざまな大学に所属し、それぞれの専門分野の勉学や研究を行いながら、JPタワー学術文化総合ミュージアム「インターメディアテク」の活動をお手伝いしています。
 今年度は、館内でのアカデミック・アドベンチャーを中心に活動を行い、オンライン版アカデミック・アドベンチャーの実験にも取り組んできました。私たちIMTボランティアが考えたアドベンチャーの内容をご紹介いたします。

李 牧(大東文化大学国際関係学部国際文化学科3年)
皆さんはミュージアムを訪れた時、どのように展示物を観察していますか。細かいところまで一つずつ見る、あるいは全体をながめるなど、色々な観察の仕方が考えられます。私の場合には、何点か似たようなモノを比べながら見ています。私のアカデミック・アドベンチャーでは、「角」に注目しました。様々な動物が角をもっていますが、形や役割など、それぞれ違いがたくさんあります。例えば、角の構造に注目すると、ウシの角はケラチンという物質からできるカバーがあるのに対し、シカの角はカバーがなく、骨そのものです。このように、同じ角をもっている動物でも角のつくりが異なるため、表面の質感に違いが見られます。比較しながら展示物の観察を行い、多様な角度からそれぞれに違いがあるのはどうしてなのかを考えることで、皆さんにも新たな発見をしてほしいと思います。

谷地美翔子(東京大学教養学部教養学科超域文化科学分科表象文化論コース3年)
ミュージアムに行く時、皆さんはどんな展示物に注目するでしょうか。綺麗なもの、古いもの、大きなもの、珍しいもの……きっと人それぞれだと思います。私のアカデミック・アドベンチャーでは、今から2000–3000年ほど前の古代エジプトのミイラを紹介します。このミイラの正体は、長い間、研究者にとってもなかなか分かりませんでした。しかし、棺に書かれたヒエログリフ(古代エジプトの文字)の解読やX線調査から、いろいろなことが明らかになりました。展示ケースの前で足を止める時、今を生きる皆さんは、かつて確かに存在していた人物や動物、そして実際に使われていた道具と対面することになります。それらの中には、皆さんにとって正体がわからないものもあるでしょう。ぜひ皆さんも、お気に入りの展示物を見つけて、ミイラを調査してきた研究者のように好奇心をもち、遠い場所や遠い時代に思いを馳せてみてください。

尹 杰(東京大学工学部航空宇宙工学科4年)
「生身の体では出来ないことを、もっとできるようになりたい!」そんな願いに突き動かされて、私たち人類はこれまでさまざまな道具を生み出し、技術を発展させてきました。その中で、太古の昔から世界中の人々が憧れを抱き、挑戦し続けてきたにも関わらず、つい百年ほど前まで実現できなかった一つの「究極の夢」がありました。それは「空を飛ぶ」ということです。私のアカデミック・アドベンチャーでは、鳥の骨格を観察・比較することで、生き物が空を飛ぶために必要な条件と、なぜ人の体では空を飛べなかったのかについて考察します。そして、人が自らの技術と発想により、いかにこの難題を克服し大空に羽ばたけるようになったかについて考えていきたいと思います。皆さんも日頃の生活の中で、自分の弱点を克服し、「今まで出来なかったこと」に挑戦するという経験をたくさんしていると思います。そんな時、鳥の骨格からわかる飛ぶための条件に対し、それとは全く別の方法で大空を目指した先人の知恵を知ることで、困難へのアプローチの仕方を学ぶことができるかもしれません。

村上七海(早稲田大学文学部文学科4年)
皆さんは、ミュージアムという場所に対してどのようなイメージを持っているでしょうか。「勉強をするための堅苦しい場所なのではないか」と思っている方は、ぜひアカデミック・アドベンチャーに参加してみてください。私のアドベンチャーでは、ギメルームに集められたたくさんの珍しい展示物から、お気に入りのものを見つける探検に出かけます。仏像や、動物の標本などが一つの部屋に立ち並んでいる空間に圧倒されたら立派な探検家の証拠。皆さんの心の中にある好奇心が重要な持ち物です。紙やデータに触れただけでは気付けない、使っていた人の想いまで受け継いでいる生の展示物に一緒に出会っていきましょう。

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