2017.09.16-2017.12.03
GRAY CUBE
PDF版展覧会図録を公開しています。
インターメディアテクにおける新たな連続展覧会企画「インターメディアテク博物誌シリーズ」の第一弾として、東京大学総合研究博物館とキュー王立植物園との国際学術協働により、キュー所蔵の歴史的な植物画の優品28点を公開いたします。キュー所蔵の歴史的な植物画と植物学研究の最前線にある東京大学所蔵の植物標本とを組み合わせた展示構成により、植物画家および植物学者の目を通した「博物誌」の美しさと豊かさを伝えます。
主催 東京大学総合研究博物館+キュー王立植物園
協力 東京大学大学院理学系研究科附属植物園
協賛 東芝国際交流財団、ニールズヤードレメディーズ
後援 ブリティッシュ・カウンシル、朝日新聞社
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1994年頃のことだったろうか。日本でも、大学に蓄積された学術標本を利用可能なリソースとして保存管理活用する学術的基盤装置としてのユニヴァーシティ・ミュージアムが、来るべき21世紀には必要なのではないか、そうした論を展開する必要に迫られていたさい、われわれが仰ぎ見た模範的な先例のひとつが、他でもない、英国のキュー王立植物園であった。コレクションの豊富さ、植物学研究拠点としての国際的な優位さ、長期に亘るコレクション戦略の鋭敏さ、社会に向けての情報発信活動の洗練さなど、ただ単に歴史が長いというだけではとうてい説明しがたい、研究機関としての完成された存在様態を備えていたからである。このたびキュー王立植物園から特段の配慮を賜り、近代植物学の黄金期を飾る植物画の傑作の日本将来を実現し得たことは、実に感慨深いことと言わねばならない。とりわけ、この十年のあいだ、総合研究博物館では「アート・アンド・サイエンス」の大掴みな主題枠のなかで、「アートなのか、サイエンスなのか」の二元論を超えるものすなわち、「アートであり、サイエンスでもある」ものの探求を進めてきたという事情がある。この意味において、「キュー」の誇る歴史的な植物原画コレクションは、まさに両者の臨界点に位置づけられるべき遺産として、われわれの関心を呼び覚ますものとなったのである。
西野嘉章
インターメディアテク館長
【関連イベント】
連続講演会『植物のアートサイエンス』
【関連展覧会情報】
国立科学博物館
企画展『フローラ ヤポニカ—日本人画家が描いた日本の植物—』