JPタワー学術文化総合ミュージアム インターメディアテク


映画上映会『日本実験映画の開花――EXPRMNTL 1963』

2017.03.24
ACADEMIA

日時 2017年3月24日(金)18:00(開場17:30、終了予定時間19:45)
場所 インターメディアテク2階ACADEMIA(レクチャーシアター)
参加費 無料(事前予約不要)
席数 48席(先着順、席に限りがありますので予めご了承ください)
*撮影および録音は禁止とさせていただきます。
*会場でのご飲食(ガムを含む)はご遠慮ください。


 1949年、ベルギーの平穏な海水浴場として知られるクノック・ル・ズートは、野心的な前衛映画運動の舞台となります。この年、王立シネマテークの主催で設立されたクノック・ル・ズート実験映画祭「EXPRMNTL(エクスペリメンタル)」は、地元カジノの金銭的援助を得てレベルの高い映画賞を設け、世界中から映画関係者及び文化人を集めます。このフェスティバルは1974年の最終回までわずか5回しか開催されませんが、その間、実験映画史に残る新作を紹介し続け、時には過激な作品を通して論争を起こし、映画と他分野のアートとの関係性を深める上で重要な役割を果たしています。戦後、著しく発展した日本実験映画の代表者も、1949年の設立当時から「EXPRMNTL」に出品しています。なかでも1963年の第三回では、日本映画の出品数が107本中の7本に及び、センセーションを巻き起こしました。その評価に悩んだ審査員は、公表されていた賞とは別枠で、日本の監督全員に「審査員会特別賞」を与えることにしました。帰国した監督たちは翌1964年に新宿の紀伊国屋ホールで「フィルム・アンデパンダン」フェスティバルを企画し、実験映画と現代美術を結びつける上で画期的な取り組みを発表します。
 1963年の特別賞に輝いた映画作品の上映用フィルムは主催者のベルギー王立シネマテークに寄贈され、以来、王立コレクションとして収蔵されてきました。昨年、日本ベルギー友好150周年記念を機に、当時のフィルムが新たにデジタル化されました。ここでは、VUB大学教授のハンス・ド=ヴォルフ氏及び王立シネマテークの協力を得て、このフィルムの上映を通して戦後日本実験映画の黎明期を振り返ります。


主催 東京大学総合研究博物館+ブリュッセル自由大学(VUB)
協力 ベルギー王立シネマテーク+ブリュッセル首都圏地域
企画構成 東京大学総合研究博物館インターメディアテク研究部門


【上映作品】

吉田直哉(1931-2008)「日本の文様」
1961/23’/16mmをデジタル化/白黒
撮影:岩井禧周/美術:杉浦康平、粟津潔/切紋:花田紋正/音楽:武満徹/録音:稲村清/編集:大高晋/監修:岡田譲、山辺知行
NHK在職の吉田直哉が、実験的な映画構成を導入して制作した番組。デザインから音楽まで各分野から豪華な若手スタッフを集め、現代的な手法をもって日本伝統美の統合的な表現に挑戦している。

ドナルド・リチー(1924-2013)「戦争ごっこ」
1962/22’/16mmをデジタル化/白黒
脚本+編集+音楽:ドナルド・リチー/協力:土方巽
当時「ジャパン・タイムス」紙の映画評論家として日本で活躍していたリチーの代表的な初期無声モノクロ映画。荒れている海を背景に砂浜で遊ぶ少年たちが山羊を殺し、それを砂に埋める儀式を冷静な目で捉えた現代の寓話。

高林陽一(1931-2012)「砂」
1963/26’/16mmをデジタル化/白黒
企画制作:コーリングループ/制作:高林陽一/音楽:柳古葉寿/出演:伊達京史[瑳川哲朗]、正城睦子
高林監督の16ミリ処女作。広大な砂丘で、壺を抱える男と壺に砂を入れる女が現れ、出会うこともなく歩き回る。無言のシーンが続くなか、不毛にして孤独な人間の条件が劇的に繰り広げられる。

飯村隆彦(1937-)「ONAN」
1963年/7’/16mmをデジタル化/白黒
制作+脚本+撮影:飯村隆彦/美術:中西夏之/音楽:刀根康尚/出演:中西夏之、コダイラ・アキコ
対象のない自身の欲望に悩む青年が、巨大な卵を産む。刀根康尚による音響効果が響き、中西夏之とその作品『コンパクト・オブジェ』が登場する本作品は、実験映画と当時の前衛美術を架橋した代表例である。飯村監督の初の16ミリ作品。

藤野一友(1928-1980)+大林宣彦(1938-)「喰べた人」
1963/24’/16mmをデジタル化/白黒
撮影:大林宣彦/効果:吉田美能留/美術:藤野級井/出演:松下砂稚子、泰和夫、草野大悟、肝付隆也、高橋あや子、荒木田府郎、寺澤正、岸田森、平田穂生、藤野一友、石崎仁一、岡美之
8ミリ作品で反響を呼んだ大林宣彦が藤野一友とともに初めて取り組んだ16ミリ作品。洋食屋で豪快に食べる客を前に失神する女性店員を中心とした、食の野性的な本質を巡るシュールな喜悲劇。

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