JPタワー学術文化総合ミュージアム インターメディアテク
HAGAKI
研究者コラム

インターメディアデザイン その七

 当館二階の奥にFIRST SIGHTという展示室がある。もともと企画展示室のひとつであったが、2015年より半常設展示の「ギメルーム」となっている。ネーミングの由来からもこの部屋での主役は、フランスのリヨン自然史博物館より輸送した歴史的木製什器である。その繊細で造形的なフレームと薄い手すきガラスはまさに工芸品である。リヨン自然史博物館は1777年に一般公開しているが、1913年に改修されているからその年に製作されたものであろう。これに限った話ではないが、西洋のアンティーク家具というのは当時の職人の技術と美意識の高さに感銘を受ける。さて、この什器をどのように仕立てるか、展示物はともかくとしてまず考えたのは、他の空間では使っていない色で印象をガラリと変えて見せることだった。色の候補はいくつかあったが、最終的にビビッドで飽きのこない色としてグリーンを選んだ。それはこの部屋までの導線にあるダークレッドの補色関係であることも決定に至るひとつの要因である。しかし、印象的なだけに6年も見ていると飽きなくもない。良い機会があればまたガラリと変えてみたいと思う。

関岡裕之(東京大学総合研究博物館特任准教授)
Hiroyuki Sekioka

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