JPタワー学術文化総合ミュージアム インターメディアテク


洪 恒夫

研究部門

ミュージアム・テクノロジー寄付研究部門特任教授/展示デザイン

「展示は様々な事柄や情報を伝えるためのコミュニケーションメディアである」を持論に、展示を核とした様々なコミュニケーションスペースを作りつづけてきた。研究においては、ミュージアムの視覚化―ミュゼオグラフィーの実践研究を行っている。
ミュージアムにおける展示の役割は、学術研究の成果などを伝達することが目的となる。したがって、その特徴を最大限に活かすべく明快な目標を持って表現すれば、極めて有効な情報提供、伝達が可能となる。つまり、展示の狙いやコンセプトをはっきりとさせ、その目標達成に最適な方法を考案、デザインすることにより、訴求力の高い展示が実現できるのである。
例えば、当館には学術成果の展示化という目標があり、表現すべき成果も明確な場合が多い。資料やコレクションであれ、テーマであれ、核となるものが存在し、それを一番ふさわしい「可視化されたかたち」に仕立てていくのが私のようなデザイン側の仕事である。当館での活動には、展覧会を担当する研究者や資料ととことん向き合い、その答えをみつけることができることに面白みがある。単に表層にとどまらず、「情報を伝えるかたち」、「標本を見せるかたち」を追求することが可能な環境にある。
学術研究というと一般には馴染みが薄く、取っ付きにくいものと思われることが多い。しかし伝えるべきことがあるならば、興味を喚起させると同時に、それをわかりやすく訴求力の強い方法で伝えることが望まれる。これは、言うなれば「学術を翻訳」し社会へ伝える、つまり“ミュゼオグラフィー”の実践である。
一方で、ミュージアムとは何か?という課題に答えるべく、ミュージアムの活動モデルの構築を行っている。既成概念にとらわれない斬新な施設スタイル、事業スキムの創出である。これらは現在、館内の標本等を外部に持ち出し遊動させる「モバイルミュージアム」や館で開催した展覧会を学校教室のスケールに再編し展開させる「スクールモバイルミュージアム」として計画、実行している。また、ミュージアムを建設し、ミュージアム事業を実行する事業者、事業主体のあり方、かかわり方などの事業スキムの研究を、実践を通して行っている。具体的には、戸隠地質化石博物館のような行政ミュージアムにおける官学連携事業の実現や、官学、そして産官学連携事業による学校教室を用いたミュージアム活動であるスクールモバイルの実践、インターメディアテクにみられる産学連携による大規模ミュージアムの企画・実践などへの取り組みである。

略歴

1985年 武蔵野美術大学造形学部建築学科卒。株式会社丹青社入社。以降、博物館、展示施設、博覧会、アミューズメントスペース等、様々なコミュニケーションスペースのプランニング、デザイン、プロデュースを行う。
2002年 東京大学総合研究博物館客員助教授。
2005年 同館客員教授。
2008年 同館特任教授。
金沢美術工芸大学非常勤講師 、(一社)日本空間デザイン協会理事。

研究実践活動

■受賞歴

2003年 ディスプレイデザイン賞2003優秀賞「SKIPシティ彩の国ビジュアルプラザ
映像ミュージアム」
2003年 ディスプレイデザイン賞2003企画研究特別賞「SKIPシティ彩の国ビジュアルプラザ
映像ミュージアム」
2003年 ディスプレイデザイン賞2003企画研究特別賞「埼玉県生活科学センター 彩の国
くらしプラザ」
2004年 ディスプレイデザイン賞2004大賞・朝日新聞社賞「石の記憶―ヒロシマ・ナガサキ」
2004年 ディスプレイデザイン賞2004優秀賞「シーボルトの21世紀」
2004年 ディスプレイデザイン賞2004企画研究特別賞「学術とデザインの融合による
展示効果について 大学博物館の実験展示“石の記憶-ヒロシマ・ナガサキ”をモチーフ
とした展示の実践」
2004年 2004 ディスプレイ産業特別賞 ・日本経済新聞社賞「学術とデザインの融合による
展示効果について 大学博物館の実験展示“石の記憶―ヒロシマ・ナガサキ”をモチーフ
とした展示の実践」
2004年 2004年度グッドデザイン賞「石の記憶―ヒロシマ・ナガサキ」
2005年 ディスプレイデザイン賞2005優秀賞「2005年日本国際博覧会 国際赤十字・赤新月
パビリオン」
2005年 ディスプレイデザイン賞2005奨励賞「プロパガンダ1904-45 新聞紙新聞誌新聞史」
2005年 2005ディスプレイ産業奨励賞「Systema Naturae ―標本は語る。」
2005年 ディスプレイデザイン賞2005企画・研究特別賞「東京大学コミュニケーション
センター」
2005年 2005年度グッドデザイン賞「東京大学コミュニケーションセンター」
2006年 ディスプレイデザイン賞2006奨励賞「アフリカの骨、縄文の骨 遥かラミダスを望む」
2006年 ディスプレイデザイン賞2006企画・研究特別賞「『人類学の研究とは何か』を伝える
ミュゼオグラフィーの企画と実践」
2007年 ディスプレイデザイン賞2007企画・研究特別賞「モバイルミュージアムプロジェクト」
2007年 ディスプレイ産業奨励賞2007「時空のデザイン」
2008年 2008JCDベスト100「異星の踏査」
2011年  ディスプレイデザイン賞2011優秀賞、ディスプレイ産業賞奨励賞、「有楽町献血ルーム」
2011年 ディスプレイデザイン賞2011優秀賞 「上海国際博覧会・日本産業館」
2011年  キッズデザイン賞 「スクールモバイルミュージアム」
2012年  総合報道IJPビジュアル・広告賞 優秀賞 「日赤近畿血液ブロックセンター見学施設」
2012年 ディスプレイデザイン産業奨励賞2012 「ONE PIECE展」~原画×映像×体感のワンピース


■展示企画・デザイン、プロデュース

□東京大学総合研究博物館

ニュートリノ展(東京大学総合研究博物館 2002)
東京大学学位記展 II (東京大学総合研究博物館 2003)
東京大学コレクションXIV:シーボルトの21世紀 (東京大学総合研究博物館 2003)
東京大学コレクションXVII:石の記憶~ヒロシマ・ナガサキ(東京大学総合研究博物館 2003)
東京大学コレクションXVIII:プロパガンダ1904-1945~新聞紙・新聞誌・新聞史(東京大学総合研究博物館 2004)
東京大学コレクションXIX:『Systema Naturae』標本は語る。(東京大学総合研究博物館2004)
東京大学コレクションXX:関野貞アジア踏査(東京大学総合研究博物館 2005)
開館10周年記念特別展示:アフリカの骨、縄文の骨-遥かラミダスを臨む(東京大学総合研究博物館 2005)
新規収蔵展示:川口四郎博士コレクション―サンゴ礁の貝類(東京大学総合研究博物館2006)
東京大学創立130周年記念事業展示:遺丘と女神 ―メソポタミア原始農村の黎明(東京大学総合研究博物館 2007)
東京大学創立130周年記念事業展示:異星の踏査―「アポロ」から「はやぶさ」へ(東京大学総合研究博物館 2007)
特別示:鉄―137億年の宇宙誌(東京大学総合研究博物館 2009)
特別展示:火星―ウソカラデタマコト(東京大学総合研究博物館 2010)
特別展示:ヒマラヤ・ホットスポット―東京大学ヒマラヤ植物調査50周年(東京大学総合研究博物館 2010)
常設展示:「キュラトリアル・グラフィティ―学術標本の表現」 (東京大学総合研究博物館 2011)
特別展示:鰻博覧会―この不可思議なるもの(東京大学総合研究博物館 2011)
特別展示:アルケオメトリア―考古遺物と美術工芸品を科学の眼で透かし見る(東京大学総合研究博物館 2011)
特別展示:「東大古生物学―130年の軌跡」(東京大学総合研究博物館 2012)


□その他 実績

国際花と緑の博覧会・政府苑(大阪府大阪市 1990)
ハウステンボスアトラクション・ミステリアスエッシャー(長崎県佐世保市 1992)
ハウステンボスアトラクション・ホライゾンアドベンチャー(長崎県佐世保市 1993)
宮城慶長使節船ミュージアム・サンファン・バウティスタ (宮城県石巻市 1997)
鳥取二十世紀梨記念館(鳥取県倉吉市 2001)
Skipシティ・映像ミュージアム(埼玉県川口市 2003)
埼玉生活科学センター(埼玉県川口市 2003)
2005年日本国際博覧会 国際赤十字・赤新月館(愛知県長久手町 2005)
東京大学コミュニケーションセンター(東京都文京区・東大本郷キャンパス内 2005)
科学技術館・鉄鋼展示室(東京都千代田区 2007)
ソニー歴史資料館(東京都品川区 2007)
戸隠地質化石博物館(長野県長野市 2008)
上海国際博覧会・日本産業館(中華人民共和国上海市 2010)
日赤有楽町献血ルーム(東京都中央区 2010)
日赤近畿ブロック血液センター見学施設(大阪府茨木市 2012)
「ONE PIECE展」~原画×映像×体感のワンピース(東京都港区・森アーツセンター 2012、大阪府大阪市港区・天保山ミュージアム 2013)

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