JPタワー学術文化総合ミュージアム インターメディアテク

菊池 敏正

研究部門

インターメディアテク寄付研究部門特任助教/文化財保存学

略歴

2005年 東京芸術大学大学院美術研究科文化財保存学保存修復彫刻修士課程修了
2008年 東京芸術大学大学院美術研究科文化財保存学保存修復彫刻博士課程修了
    博士(文化財)
2008-2009年 東京芸術大学大学院美術研究科文化財保存学保存修復彫刻 教育研究助手
2009年 東京大学総合研究博物館インターメディアテク研究部門 特任助教
受賞
2004年  平山郁夫賞(東京芸術大学)
2005年  サロンドプランタン賞(東京芸術大学)

1)模型標本構造技法研究
 大学博物館は近代日本における学術研究の蓄積であり、且つ最も幅広い分野を網羅するコレクションを持つ。学術標本の中には江戸末期から明治期にかけて日本の伝統的な技法により制作された模型標本が多く現存する。しかし、学術標本は文化財とは異なり美術的希少価値が低く、修復の対象には至っていない。そのため、標本の素材や構造についての明確な情報が無い状態である。主に江戸末期から明治期にかけて国内で制作された模型標本には日本の伝統技術を用いたものがあり、仏教文化に育まれた日本美術の伝統技法が近代化の進む日本で衰退していく中、多方面へ広がった痕跡をたどることも興味深い視点であると考える。

2)伝統技法研究
主に天平時代に多く制作された乾漆造りの技法解明を進めている。多様化する文化財保存修復の現場において役立つよう、制作当初の技法・材料を明確に提示することを目的とする。乾漆技法は、漆を塗料として使用するだけでなく接着剤・モデリング材など、用途に合わせ存分に活用した技法であり、すばらしい作例を残しながらも、天平時代以降衰退する理由として様々な説がある。乾漆技法だけでなく木彫技法や古典粗造についても同様に研究を進めている。天平末期において、様々な技法は直線的に変化し移行するのではなく、様々な技法が並列し転用されていたと考えられ更なる研究を進める。

3)立体造形の研究
 学術的なモチーフを採用し完全•均斉•明快さを追求し、且つイメーシスに固められる事の無い造形を研究している。時間による崩壊のないスタティックな造形と運動性を持つ造形の構成を普遍的な古典技法により表現することを目的としている。

4)彫刻文化財修復技術の研究
これまでに様々な彫刻文化財の調査•修復に携わってきた。修復方法は損傷状態により様々であるが、状態により全解体による修復が必要なものもある。国内に現存する彫刻文化財は、長い歴史において幾度と修復を繰り返している。常に劣化を続けるこれらの文化財を次の世代へと適切な状態で伝えることは、必須かつ早急な研究課題と考える。次の世代へ文化財をより良い状態で引き継ぐ事を目的としつつ、さらには修復から得た知見を美術史学、文化財保存学等に還元していく。


研究略歴
2013 『ART PARIS 2013』GRAND PALAS GALLERY DA-ENDパリ•フランス
2013 空間と立体造形によるメッセージ展 ギャラリー碧 栃木•足利
2013 『「翔」自然から飛び立つ4人展』ギャラリー碧 栃木•足利
2013 『世界の核心にふれるかたち』「月刊美術」2月号P44~45 実業之日本社
2013『保存•標本の保存と再生』「Ouroboros」東京大学総合研究博物館発行 P17
2013『XYZ』シンポジウム「アーティストは何から作っているのか」(MEGUMI OGITA GALLERY)東京
2012『XYZ』(MEGUMI OGITA GALLERY)東京
2012『乾漆造りによる仏像彫刻』「文部科学教育通信」283ジアース教育新社 P43
2012『ARTSHOW BUSAN』BEXCO Exhibition Hall2  韓国•釜山
2012『CABINET DA-END 02』ギャラリーDA-ENDパリ•フランス
2012 個展『Neo Authentic』(MEGUMI OGITA GALLERY)東京
2012『SOFA NEW YORK2012』sculpture objects and functional art fair + design
(MEGUMI OGITA GALLERY)ニューヨーク•アメリカ
2012『標本の技術と芸術』「文部科学教育通信」220 ジアース教育新社 P43
2011『材料•道具の歴史と現状』「文部科学教育通信」200 ジアース教育新社P43
2011『形與力—型態的多様性』国立台湾大学総合図書館 (東京大学総合研究博物館)
2011『SOFA CHICAGO2011』sculpture objects and functional art fair + design
(MEGUMI OGITA GALLERY)シカゴ•アメリカ
2011『KIAF2011』KOREA INTERNATIONAL ART FAIR Soul COEX hall
(MEGUMI OGITA GALLERY)韓国•ソウル
2011『驚異の部屋―写真家上田義彦のマニエリスム博物誌』ガダーニュ美術館 フランス•リヨン(東京大学総合研究博物館)
2011『SHOWCASESHOW』MEGUMI OGITA GALLERY 東京 
2011『魅了する小品たち』ギャラリー碧 栃木•足利
2011『台湾2011三義国際木彫芸術交流展』台湾三義木彫博物館
2011『二次元と三次元の出会い』 アートスペース羅針盤 東京•京橋
2011『chamber of curiosities 驚異の部屋 写真家上田義彦のマニエリスム博物誌』国立台湾芸術大学
2011『様々な造形』羅針盤セレクション アートスペース羅針盤 東京•京橋
2010『学術標本に見る日本の伝統技術•保存修復法の確立へ』「文部科学教育通信」181 ジアース教育新社 P43
2010『若手作家の現在』 ギャラリー碧 栃木•足利
2010「仏像が教えてくれる技術と美意識」Utalk 東京大学福武ホール1階
2010アーティストトークブロッサム  ギャラリー碧 栃木•足利
2010『モバイルミュージアム』興和不動産本社ビル 東京大学総合研究博物館
2010興福寺五部浄像模刻 静岡銀行本社ビル 設置
2010阿弥陀如来立像制作 岐阜県個人像   設置
2009年『塑造』 「国宝の美」12号 朝日新聞出版  共著
2009年『脱活乾漆造り』「国宝の美」創刊号 朝日新聞出版 共著
2009年 特別講演「脱活乾漆造りについて」東京日本橋 奈良まほろば館
2009年 期待の新人作家展 アートスペース羅針盤 東京•京橋

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