JP Tower Museum INTERMEDIATHEQUE
HAGAKI
RESEARCHERS COLUMN

出版計画再構築中(6)

 傲慢と言えばそうかもしれない。書けるのは自分しかいない、否、そのように信じたい、と思う内容の本が、「インターメディアテク」構想とそれが実現に至った経緯を記録として綴ったものである。われわれが丸の内に開設した文化施設は、なにゆえ「ミュージアムを標榜しないミュージアム」であり、「インターメディアテク」を自称することになったのか。この根底にある考えは、やはり文字のかたちで書き残しておくにしくはない。「ミュージアム」の呼び名で市民社会のなかに定着してきた社会教育施設に、収蔵、調査、研究、展示、発信の機能充足を果たさせるだけでなく、独自の芸術的創造の苗床を定位させることはできないか。モノの保管場所は、いつの時代にあっても、イデア創発の触媒に満ち溢れている。ポスト「オリパラ2020」をどうするのか、それが問われている今こそ、そのことを改めて問うてみたいのである。

西野嘉章(インターメディアテク館長、東京大学総合研究博物館特任教授)

Back to Column List