JP Tower Museum INTERMEDIATHEQUE
HAGAKI
RESEARCHERS COLUMN

“時”と協働するデザイン

 エイジングされたもの、つまり自然に経年変化したものは、時間の経過でしか現わせない趣きや力がある。“インターメディアテク”も80余年が経過した昭和初期の建築と、古くは明治の初めに作られた標本、そして学内等で使用されていた家具や什器など、エイジングされたものによるハーモニーが魅力を生み出し、訴求効果を高める要因となっている。新造の施設はゼロから施すデザインが空間の表情をつくるが、リノベーションは新築では決して出せない魅力の創出が可能である。それはデザイナーの感性と“時”がすり合って生まれるデザインといえよう。小学校の廃校をミュージアムに改装した長野市の戸隠地質化石博物館、高校の廃校を活用した静岡県のふじのくに地球環境史ミュージアムなど、学校建築のリノベーションは初めから学び舎の記憶を持った建築がミュージアムに更なる雰囲気を与える。時間が経過したものとの協働は“時”がデザインの一翼を担うのである。(写真は戸隠地質化石博物館)

洪恒夫 (東京大学総合研究博物館特任教授)

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