JP Tower Museum INTERMEDIATHEQUE
HAGAKI
RESEARCHERS COLUMN

エアトン教授の机 <東京大学 木製什器1>

 インターメディアテクの窓辺にひっそりと佇んでいる木製の机がある。この机に近づくと自らの身体感覚によって、ほんの僅かな違和感を感じ取ることができる。この机は、1873年にイギリスより工部省工学寮工学校に招かれた世界最初の電気工学教授、W・E・エアトン教授が自ら設計し大工が製作した執務机である。床から天板まで780mm。インターメディアテクでは、東京帝国大学・東京大学の講義室や研究室で使用していた木製机を収蔵展示しているが大半は床から天板まで755mmである。2017年現在、大手家具メーカーで販売している既製品のオフィスデスクは天板まで720mm。自分の身体に合う家具の身体性とは、想像を越える心地良さに集中力は増すばかりであろう。「身体」つながりでいうと、エアトン教授と一緒に来日した夫人のM・C・エアトンは医学研究者で滞在中に『日本人の体格と身体の形成』という論文を書いているのが興味深い。時代を超えて、この机から様々な身体性に馳せる時が味わえる。

上野恵理子(東京大学総合研究博物館特任研究員)

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