JP Tower Museum INTERMEDIATHEQUE
HAGAKI
RESEARCHERS COLUMN

インターメディアデザイン その一

 おそらく多くの研究者がそうであろう。私の場合は自身について名告るとき、まず“デザインの研究を…”と述べる。誰もがわかるその語句と曖昧模糊としたその語意に、消化不良でもあれば “デザインの研究とはなにか?”と問われる。矢継ぎ早に“様々なデザインの…云々”と補足こそするが、内容に踏み込むほどに難解にもなりかねない。むしろ、名刺代わりに展示室を一巡りするのがいちばんだ。“百聞は一見にしかず“でなければ相手にとって得られるものは何もない。デザインの仕事を物証なしに語ることはほぼ不可能だからだ。インターメディアテクに存在するデザインを私は「インターメディアデザイン」と称している。元来デザインの領域とは、まるで星座のごとく形成されるもの。ひとつのジャンルで語ることはできない。あらゆるジャンルを架橋する、あるいは統合する、それがすなわちインターメディアデザインである。

関岡裕之(東京大学総合研究博物館特任准教授)

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